劇団スポーツ 田島 実紘

「演劇すごろく」、という言葉を一番初めに聞いたのがいつの日だったのかはもう忘れたけど、少なくとも僕が劇団を始めた当初は知らなかったです。

コンプソンズさんも劇団スポーツも、確か旗揚げしたのは両団体とも2016年で。一度、作・演出の金子鈴幸さんと共演した時に、王子小劇場の楽屋で「旗揚げ時期同じですね」みたいな会話をしたような、してないような記憶があります。

下北沢のOFF・OFFから始めて、本多、スズナリって大きくしていけば売れるみたいな時代はもうとっくに終わってる、みたいなセリフが劇中であるのですが。そういう話を内田とし始めたのは旗揚げから1年くらい経ったあとだった気がするので、2017年頃にはもう知っていたことになります。

劇中の冒頭の方でたびたび出てくる、演劇への動機というか理由。なんで演劇やってるのか。そもそもやりたいことだったかどうかさえわからない、みたいな会話があるのですが。

2019年の8月に金子さんと共演した時に、同じ団体主催として「なんで演劇やってるんですか?」みたいなことを、楽屋で聞かれたような、聞かれてないような。あれ以来一度もお会いしてないですし、そもそも金子さんが僕に敬語かどうかだったかさえ覚えてないので、僕の記憶の捏造だったら本当に申し訳ないのですが、そんなことを聞かれた気がします。

2019年、僕は演劇を続けていくことに対する閉塞感をうっすらと感じながらも、まだまだ演劇楽しいよ状態だったので、「みんなを倒したいから」みたいな、よくわからない的外れなことを返した記憶があるような無いような。

『何を見ても何かを思い出すと思う』。勝手にはしご割りの企画としていろんな作品を見させていただき、色んなことを思い出しながら感想を書いていた僕としては、本当にあほみたいですが「いや、本当に何を見ても何かを思い出すよな」と、金子さんと共演した時のことを追憶していました。

『何を見ても何かを思い出すと思う』は、2021年4月7日から11日にかけて「劇」小劇場で上演された作品。 今泉力哉監督や徳永京子さんをアフタートークのゲストとしてお呼びし、SNSでタイムラインを賑わせていたのを覚えています。

下北沢を舞台に、有名なカレー屋に行こうとするカップル、B級映画を取り続ける監督、かたやカンヌに呼ばれる監督、半年に一回公演を打つ劇団員たち、曲を作ろうとしないバンドマン。そんな彼らが、年代、場所、時には生死を飛び越えて、交差していく。いわゆる、タイムリープものとはちょっと違う、メタとはちょっと違う、誰かの脳内で何かを思い出しているような構成で展開されていきます。

まず、言いたいのが、コンプソンズさんってめちゃくちゃかっこ良いというか、本当おしゃれですよね…?出てくる俳優さんのグルーブ感、衣装、セリフ回し、出てくる固有名詞の数々、どれを取ってもかっけぇです。

見てくださいこの団体写真。めちゃくちゃかっこよくないですか??

劇団スポーツで三人でいる時に、偶然この写真が目に飛び込んできて、うわぁかっけぇって盛り上がった記憶があります。

対して僕らの写真。

なんだこの信号!だせぇ!!全員表情が謎すぎる。これ撮ったのいつだよ、早く変えろ。

劇中では様々な固有名詞、演劇あるあるが登場します。

荻窪界隈の小劇場世界はよくBUMP OF CHICKENで踊るんだ、恥ずかしかったとか。僕らも、実は踊りこそしなかったですが第三回公演でBUMP OF CHICKENをかけながら登場人物たちが出てくるオープニングみたいなことをしました。映像を見返すと恥ずかしすぎてゲラゲラと笑ってしまうのですが、それをバカにするようなこともなんだかしたくない気持ちがあって。『何を見ても何かを思い出すと思う』は、最後の方でそういった部分もしっかりと回収していて感動しました。

本当えらい人って必ず遅れてくるよな。えらい人のために上演時間遅らせたことあったな、とか。

閃光ライオット、スクールオブロック謎に聞いてたな。戸田恵梨香がゲストで来た回に、なんかおはようボイスだかなんだかが配信されて、目覚ましの音にしたなとか。

自分のサブカルとの出会いは、中学1年生の時に初めて読んだ浅野いにおだった気がするなぁとか。

そんなあれやこれやを、劇中で様々な時代に飛びながら、僕も様々な時代に飛んで、色んなものが一緒くたになりながら心地よく、時には死にそうになりながら思い出していました。

コンプソンズさんは、なんとなく「エモ」とか「王道」とか「奇跡」とか、そういったものをちょっと小ばかにしながら、でも劇中のシーンの一瞬一瞬がすごくエモーショナルでなんだか泣けました。そこは勝手に僕らと似たようなものを感じました。

というわけで、色んなことを思い出しながら話は冒頭に戻るのですが。

なんでやってるんですかね、演劇。

2016年の旗揚げの時は目がキラキラしていたはずの僕。2019年の時もまだそこまで死んでなかった気がします。

でも今はなんだかSNSを見ることさえしんどくなって、演劇なんてやる必要あるのかなと自分に問いながら、辞めれずにいました。きっとそれは、コロナとか戦争が無くても同じことだったと思うんですよね。だから最近はずっと、なんで演劇なんかやってるんだろうって問うてます。

この作品を見て一つ思ったのは。

ああ、俺って演劇の力みたいな、

演劇にしかできないこと、みたいな、

そういうことをまだ信じてるから、続けているんだろうなって思います。

昨今の演劇すごろくの盤面は、地獄みたいなマスばかりな気がするけど、でもたまに出る奇跡マスを信じて、今日も賽をふります。

コンプソンズ#9 『イン・ザ・ナイトプール』

     
2022年4月5日(火)~10日(日)
@王子小劇場
脚本・演出 細井じゅん、大宮二郎、宝保里実、鈴木啓佑

【キャスト】星野花菜里、細井じゅん、大宮二郎、宝保里実、鈴木啓佑、大谷博史、神山慎太郎(くらやみダンス)、忽那文香(ダウ90000)、榊原美鳳(ハダカハレンチ)

【チケット料金】
一般 3000円
学生 2500円 ほか

【はしご割について】
一般料金のみ、枚数限定、要予約

【チケット予約】https://ticket.corich.jp/apply/116483/

HP→https://www.compsons.net/
Twitter→https://twitter.com/compsons1206


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