劇団スポーツ 田島実紘

劇団スポーツとはしご割の関連企画として、今まで6団体の過去公演を観させていただき、誠に恐縮ながら勝手にご紹介をして、感想を述べさせていただきました。

今回はそんな紹介企画も最後です!

実は最後は紹介ではなく、対談企画。石黒さんからお声がけいただきまして、Zoomでの対談となりました!

劇団普通の石黒麻衣さんと、劇団スポーツの内田、田島が進行でお送りします。

それでは、どうぞ!(以下、敬称略)

石黒麻衣

劇作家、演出家、俳優。劇団普通主宰。
役者として活動後、2013年に劇団普通旗上げ。


劇団スポーツ・田島(以下、田島)
一応、質問何個か用意させてもらってるんですけど、こういうZoomでの会議とかインタビューとかってご経験あります?

劇団普通・石黒(以下、石黒)
いや…ないですねぇ(笑)

田島 そうですよね、僕らもあまり無くて。緊張と不慣れな感じで進めさせていただきます。

石黒 自分からお声がけしておいて、私もすごく緊張してて。

田島 僕も1時間前から、手先が冷たくなってて(笑)

劇団スポーツ・内田(以下、内田)
(対談を石黒さんからご提案いただいた経緯があり)もしかしたら、石黒さんってめっちゃ度胸が良い人なのかなって思ってて(笑)

石黒 そんなことないです。なんか全然だめですね、話すのとか。緊張しすぎて、あとから一人で後悔します(笑)

内田 わかります(笑)

石黒 なんであんなこと言ってしまったんだろうと思って。

💬劇団なの?

田島 質問しながら、僕らの共通言語を探っていけたらなと思います。まずはじめに、劇団普通さんと劇団スポーツは、どちらも団体名に「劇団」ってついていますね。

内田 僕と田島が大学で出会った時に、劇団ってつけました。僕らは周りに劇団ってつけている団体がいなかったから、つけてみようっていうところから始まって。ただ内実これって劇団なのかなって思うところはあります。実質3,4人で運営していて、先輩後輩があるわけでもなく、定期集会があるわけでもなく…劇団って名乗りながら、巷でいうところのユニットですね。

田島 ぼくらの時は周りに劇団ってついているところがそんなに無くて、みんなバンド名みたいなおしゃれな名前をつけてたから、その逆張りみたいなところがあったんだよね。

内田 そうそうそう(笑)

田島 今劇団ってつけているところあんまりないし、ユニットっていう考え方を知らなったから、そうなったんですよ。劇団普通さんはどうですか?

石黒 今は一人劇団ですね。始めた時はユニットだったんです。私の偏見なんですけど、演劇始めて団体作るときは、劇団ってつけるものなのかなって(笑)

田島 めっちゃわかります(笑)

石黒 あとは、劇団名を決める時に漢字四文字の劇団にあこがれていて、大人計画さんとか、劇団健康さんとか、そんな名前にしようかなと思って。

田島 普通っていうのは何か意味があるんですか?

石黒 実はこれだぞっていうのはあんまりなくて、いろいろ書き出して、そうだよな、普通だよなって…(笑)

内田 すごいですねそれ!(笑)なんとなく字面だけで見たら劇団普通さんだなって思うけど、今回演劇祭のチラシを僕がデザインして作りまして、その時に劇団普通さんを打ち込んで、配置しているときに、劇団普通…劇団普通?!って思って(笑)

石黒 (笑)

内田 よく奇をてらったことをやらないっていう意味で、普通っていうのを劇団のキャッチコピーとか、指針に据えているような方たちは聞いたことがあるんですけど、それを劇団の名前にしちゃうっていうのは、冷静に考えるとすごいことやってるなって思って。

石黒 そうですよね(笑)みんなにすごいねって言われますね、よくつけたねって。

田島 そういう意味では劇団普通も劇団スポーツも意味はわからないですよね(笑)

石黒 スポーツさんもすぐ覚えられますよね、すっと頭に入ってきて。

田島 ありがとうございます(笑)僕らもほとんど理由とかなくて、深夜のコンビニで考えて思いつかなくて、朝のコンビニで内田に好きなもの何?って聞かれた時にスポーツって言ったらそれだ!ってなったんですよね。だから深夜テンションで決めてるんです。

内田 由来を聞かれると、毎回困りますよね。

石黒 確かに、どういうコンセプトでやってる劇団なのかって、こういう機会に考えますよね。言葉にしてみる機会あまりないですからね。

💬演劇始めた理由

田島 演劇を始めたきっかけを教えてください。

石黒 私始めたのがすごい遅くて、大学出て普通に就職して何年か経ってから、ちょっと身体動かす趣味やろうかなって。

田島 へー!

石黒 演劇教室とかで検索して、上の方に出てきた社会人でもできる優しい教室に入って始めました。

内田 演劇自体は、高校や大学などでやられてたんですか?

石黒 まったくやってないです、0から始めました。声を出すし、なんか良いかなって(笑)

内田 カラオケ教室に行くみたいなノリで(笑)

石黒 そうですね、だからそれまではボクササイズやったりとか、いかにも会社員のOLさんがやりそうな趣味をやってて、それから始めました。

内田 そこから、どういう流れで劇団旗揚げに至ったんですか?

石黒 演劇教室はそんなに長く続けるつもりはなかったんですけど、最初行ったらあれよあれよといううちにハマり始めちゃって。そのうち自分でも書きたいなとかやりたいなってなって。そういうことを推奨する教室だったんですよ、15分くらいの1人芝居作ってみようとか。それで興味もって始めたら、ずぶずぶと、いつの間にかこんなことになってしまいました(笑)

田島 僕らも始めたのは、23歳の頃とかで、中高時代は特に演劇をやっていませんでした。僕も内田もバリバリのスポーツマンで。内田は剣道でね、大分県4位だったっけ。

内田 そのあたりの中堅をさまよってました(笑)田島は、あれだっけ、渋谷で…なんか、三本の指に入る、バスケのポジションの人?

田島 そんなこと一言も言ってない。渋谷区の最優秀選手で、ずっと中高6年間キャプテンをやってまして。

石黒 すごい

田島 なので、方向性は違うかもしれないですけど、演劇とずっと関わらないで生きてきて、急にはまっちゃったところは同じだなと思いました。

石黒 そうですね、嬉しいですなんか。大体みんな学生演劇から続けて、演劇歴の長い方の中では下っ端だなって思ってたので、すごく近く感じました(笑)

内田 僕らも、プロフィールには大学で出会って演劇始めた、みたいに書いてあるんですけど、実際には大学の演劇サークルから旗揚げをしたというよりは、田島と二人で演劇やりたいねってなって、初心者向けのワークショップとかインプロのワークショップに行ってみて、全然何もわからないけど、友達を呼んで始めようっていうところから入ったので。

田島 最初の公演は、男友達5人でやったんですよ。誰も演劇知らなかったんで、音が出たぞー!とか、照明がついたぞー!とかでめちゃくちゃ盛り上がって、これはできるんじゃないかみたいな感じで始めましたね。…なので、僕たちは二団体とも、幼少期から演劇にはまってなかった、良いのか悪いのかはわかりませんけど(笑)

💬コロナによる変化

田島 佐藤佐吉演劇祭自体も、二年前に中止になっているのですが、コロナ前後で作風って変わりましたか?また、作風ってありますか?

内田 僕らはコロナ前は、ひたすら次の公演をうって、自分たちの技術が上がるのを待つ、みたいな、イケイケどんどんみたいな気概があったんです。希望もあったし。そこが一回コロナで足止めをされて、結構暇になったんだよね。

田島 うん、めっちゃ暇だった。

内田 こういうことがあるんだなって思った時に、今までみたいに作品を絶えず作っていくスタイルだと、いずれどこかのタイミングでまた足止めをくらうなって思って。ライフステージの変化とか、僕らもだんだん年齢が上がってきてるなっていうのを実感するようになってきて。今はどちらかというと演劇のことも、演劇以外のこともたくさん勉強したいという段階にきたなって感じがします。それまでは、公演があるから作品を作らなきゃ、って勢いでやってたんですけど、今はもうちょっと10年20年、長いスパンで楽しい距離感で演劇を続けていけるように勉強しようかなって思っています。落ち着いて楽しいもの作りたいなっていう気持ちになったよね。

田島 末永くやっていきたいねって話になったよね僕らは。燃え尽きるよりも、息が長くっていうところに今は落ち着いてる。

内田 僕ら体力ないのかもしれない。周りのちょっと上の先輩達が、1年に4本、5本作品をうったり、倍々ゲームでキャパが大きいところに行くのを見ていたので、そうしなきゃって思ってたんですけど、そんなに体力ないなって。コロナで足止めをくらった時に、息が切れてたんだなってことを知ったのが今回の収穫でしたね。

田島 石黒さんはどうですか?

石黒 私はもともと演劇の知り合いがすごい少ないところから始めたので、お客さんが200人入れば良い方みたいな、すごいちっちゃな公演をギャラリーとかでやってきたんですけど、それが自分としてはすごく楽しくて。

田島 いいですね。

石黒 毎公演課題を設けて書くタイプなんですけど、それを全部自分で達成できるようにして、こういうものをお客さんに見せたいなっていうのができるようにってやってたので。座組のみんなも仲良いし、すごい楽しかったんですよ。それから、2019年に『病室』っていう作品を、今まで書いてきたものを踏まえてちょっと違う作風にしてみたんですよね。そこからお客さんが入ったり、見てよかったねって言ってくださる方が増えて。それまでは本当に半々だったんですよ(笑)

内田・田島 (笑)

石黒 なんかよくわかんないけど良いねっていう人と、なんじゃこりゃ!っていう人と。そんな中で、良いねって言ってくれる人が増えたタイミングでちょうどコロナが…。

田島 なるほど。

石黒 これ、同じ環境の人少ないかもしれないんですけど、私演劇始めたのが遅いので、そもそもどこまで息長く続けられるのか、どこまで行けるのかなって思ってて。この世界で大成しようと思ったら、すでに偉くなっていなきゃいけない年なので(笑)偉くなったら運がよかったくらいで、できるだけ長く続けようっていうことを考えていました。なので今回コロナで足止めくらいましたけど、私の年になると親がいつ倒れちゃうんじゃないかとか、自分以外の要素でいつ足止めをくらうかわからないので。毎公演それが売れたか売れてないに関わらず、悔いの無いようにやろうって思っています。実際この足止めをくらう状況になってそこまで心境の変化が無いというか、来るときが来たなというか。こんなに大事になるとは思ってなかったんですけど、何か自分を足止めするものの一つが来たなという感じです。

田島 なるほど…。

石黒 コロナっていうものが自分にどういう風に影響するかっていうのは、自分ではよくわかっていないかもしれないです。

田島 確かに、コロナ以前からいつ足止めをくらうのかわからないっていうのはあまり考えてなかったですね…背筋が伸びました。そんな覚悟でやってなかったなって思って。

石黒 年を取ってくると出てくる悩みっていうか(笑)自分が20年先健康でいられるか、演劇を続けられるくらい元気でいるかわからないので。

田島 そうですよね。

石黒 ちょっとだけ話変わるんですけど、私震災があった時には演劇やっていないのでそのころに劇団をやってて、一度ストップしなければならなかった人の話をちらっと聞くと、自分はそういう状況におかれていなかったので、その時の作品に与える影響とか気持ちが自分には理解できていない、欠けている部分だなって思ってて。コロナと震災はまた別のものですけど、演劇が止まるという事態にこうしてまたなって、そういうものがこれから自分に与える影響っていうのを、考えていかなければならないって思ってますね。

田島 逆にちゃんと受けていかなければいけないっていう。

石黒 そうですね、ちゃんと受け止めきれてないから作品に影響が無いって思ってるのかなって。

💬病室について

田島 話戻りまして、先ほど『病室』で作風を変えたとおっしゃっていたのですが、具体的にどういう風に変えたんですか?今までの課題を昇華していった感じでしょうか。

石黒 そうですね。むしろ『病室』を書くために今までの課題があったのでは、というところがあって。

田島 へー!

石黒 簡単にいうと、リアリティのある会話って何かというところをずっと突き詰めていったんですよ。普段の会話だと人に説明するための言葉じゃないので、まったく何を言っているのか他の人が聞くとわからないんですけど、それをどれだけ再現できるのかとか、それを見せ物として成立させなければならないとか、お客さんがどれだけ情報を持つと物語が理解できるかっていうところを、ちょっとずつ図ってたんです、色々なやり方をしながら。で、そろそろいけるかなって思って書いたのが『病室』だったんです。

田島 すごいですね。確かに会話劇においてどのくらい情報を出すのかとか、どのくらいリアリティを突き詰めるのかって多分どの劇作家も考えることではあると思うんですけど、それを毎作品課題として言語化していって、それを今っていうタイミングで出せるというのは、ちょっと並大抵のことじゃないなというか、本当にすごいなと思いました。

💬脚本の書き方

田島 以前お会いした時に、石黒さんが脚本をスマホで打ってるっておっしゃってて、僕それが衝撃で(笑)

石黒 一応書くぞって思ってパソコンの前に座ったりするんですけど、ほとんど動画見ちゃって(笑)

内田・田島 (笑)

石黒 でもなんか頭の隅で10%くらいは台本のことを考えてるんですよ。ずーっと動画見ながらも考えてて。稽古場行く道すがらでは一生懸命スマホで書いて(笑)なのでみんなスマホみながら稽古してる時もあります。

田島 じゃあ結構ギリギリなんですね意外に。

石黒 ギリギリです。たまに家で書けるときがあるんですけど、そういう時は印刷して持ってって(笑)今回の稽古は、どういったわけか今のところ家で書けています。

内田・田島 (笑)

石黒 やりながらちょっとずつ書くんですけど、書き直しをしないので、順番にちょっとずつ出来上がっていって、本番のちょっと前には完成して通してやるか、みたいな。書けないですよパソコンの前でなんて(笑)

田島 そうですよね(笑)

内田 書き直しをしないっていうのは、最初に何かプロットなりをまとめる作業をするんですか?

石黒 ちゃんとしたプロットじゃないんですけど、書き出してちょっとすると、ああ大体こういう流れだなっていうのはわかって。これやって、あれやって、これやるぞ。その間をどうやって埋めようかみたいな。この出来事に持っていくためにどうしようっていうのを、一生懸命考えています。

田島 でも結構、ストレスとか無いですか?僕も動画見たりゲームしたりして、稽古始まる直前、電車の中とかでも書くことはあるんですけど、その時はもう死んじゃいそうなんですよね、気持ちが(笑)

石黒 本がかけなくて、イライラしたりとかは無いですね。稽古も、ある部分を何度も繰り返すタイプなので、稽古は成り立っちゃいますね。それで繰り返していくうちに書き終わるっていう。

田島 今日稽古でやることには困らないぞってことですね。

石黒 そうですね。劇団を一人で全部やってる分責任重大なので、あぁどうしようと思いながら制作周りとかをやっていて。だから本書くときや演出やってるときは癒し!って思ってやってますね。

内田 なるほど。

田島 メールのやり取りとかも全部石黒さんがやってくださってましたもんね。

石黒 折り込みも全部一人でやってて(笑)

内田・田島 大変!

石黒 だからだんだん公演が近づくに連れてボロボロになっていくんです。時間が無いってなって(笑)

💬今回の作品について

田島 今回上演される作品について、決まっている範囲で教えてください。

石黒 タイトルは去年やろうとしていた作品なんですけど、中身は一新しようと思っていて。もともと私の芝居は大したことが起きないんですけど(笑)『病室』と、豊岡演劇祭でやった『電話』は家族の関係を描いていて。次の『秘密』も家族の関係を茨城弁で描こうかなって思っています。見ると三部作的な感じで、なんとなくつながりを感じて見てくださればなと。もちろん見たことない方でも、情報がないからわからないとかそういう風に書くことは無いので、大丈夫です(笑)

田島 ありがとうございます(笑)内田からもお願いします。

内田 僕らも『怖え劇』は決まっていた作品なんですけど、中身は一新しようと思っています。2年前やろうとしたときは、役者がだんだん猫になっちゃうっていう話だったんですけど。

石黒 かわいい(笑)

内田 二年前の稽古の段階では、一人二人が猫になっちゃうシーンまでは作ったんですけど。どれだけ思い出そうとしても、それからどうやって落とそうと考えていたのか思い出せなくて(笑)今回やろうとしているのは、劇団の話と、ゴーストレストランの話をやろうとしていて、ウーバーイーツ専門のお店の場所ですね。その二つの場所でそれぞれ起きる、ハラスメント対立とか、支配を受ける構造とか、我慢しちゃう場面を二つの軸で描いて、それを演劇の力で解決できないかっていうコメディを書こうと思います。


お話ぶりは穏やかで落ち着いているのに、すごく秘めたる力がある方でした。演劇に対する覚悟に、背筋が伸びます。

演劇祭の初っ端である劇団スポーツに対し、劇団普通は演劇祭ラストを飾る団体です!
ぜひ、はしご割をご利用いただき、演劇祭を最初から最後までお楽しみいただければと思います。

石黒さん、本当にありがとうございました!

劇団普通 『秘密』

     
2022年4月20日(水)~24日(日)
@王子小劇場
作・演出 石黒麻衣

【キャスト】用松亮、堤千穂(鵺的)、安川まり、三瓶大介、家田三成(坂井水産)、佐藤有里子、青柳美希、しまおみほ、直木ひでくに

【チケット料金】
一般 3300円 ほか

【はしご割について】
枚数限定、要予約

【チケット予約】https://bit.ly/3h1fbqM

HP→http://gekidan-futsu.com/
Twitter→https://twitter.com/gekidan_futsu


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