投稿者: gekidansport (1ページ目 (2ページ中))

【怖え劇】3月17日(木)19:30公演中止のお知らせ

いつも劇団スポーツを応援いただき、ありがとうございます。

体調不良者の体調も回復しており、関係者のPCR検査は陰性を確認いたしましたが、公演準備の遅れのため、既報の16日(水)の公演に加えて、下記の公演を中止いたします。

【公演中止】3月17日(木)19:30開演

3月18日(金)以降の公演については、現在、実施の方向で調整しております。公演実施の可否については明日17時をめどにお知らせいたしますので、続報をお待ちいただけましたら幸いです。

該当公演をご予約のお客様にはメールにてご案内をお送りしております。

皆様には度々ご心配をおかけしますが、公演実施に向けて前向きに動いております。何卒ご理解賜りますようお願いいたします。

劇団スポーツ

【怖え劇】3月16日(水)19:30公演中止のお知らせ

いつも劇団スポーツを応援いただき、ありがとうございます。

3月15日(火)朝、公演関係者1名に体調不良者が発生いたしました。
本人はPCR検査を実施し、既に陰性を確認しております。
現在、当該1名以外には体調不良者はおりませんが、念のためのPCR検査を実施しており、こちらの結果を待つため、下記の公演を中止とさせていただきます。

【公演中止】3月16日(水)19:30開演

3月17日(木)以降の公演については、現在、実施の方向で調整しております。公演実施の可否については各回前日17時をめどにお知らせいたしますので、続報をお待ちいただけましたら幸いです。

公演をご予約いただいたお客様には、振替及びキャンセルに関するメールをお送りしておりますので、ご確認いただけますと幸いです。

皆様にはご心配をおかけしますが、ご理解賜りますようお願いいたします。

劇団スポーツ

【対談】劇団普通×劇団スポーツ

劇団スポーツ 田島実紘

劇団スポーツとはしご割の関連企画として、今まで6団体の過去公演を観させていただき、誠に恐縮ながら勝手にご紹介をして、感想を述べさせていただきました。

今回はそんな紹介企画も最後です!

実は最後は紹介ではなく、対談企画。石黒さんからお声がけいただきまして、Zoomでの対談となりました!

劇団普通の石黒麻衣さんと、劇団スポーツの内田、田島が進行でお送りします。

それでは、どうぞ!(以下、敬称略)

石黒麻衣

劇作家、演出家、俳優。劇団普通主宰。
役者として活動後、2013年に劇団普通旗上げ。


劇団スポーツ・田島(以下、田島)
一応、質問何個か用意させてもらってるんですけど、こういうZoomでの会議とかインタビューとかってご経験あります?

劇団普通・石黒(以下、石黒)
いや…ないですねぇ(笑)

田島 そうですよね、僕らもあまり無くて。緊張と不慣れな感じで進めさせていただきます。

石黒 自分からお声がけしておいて、私もすごく緊張してて。

田島 僕も1時間前から、手先が冷たくなってて(笑)

劇団スポーツ・内田(以下、内田)
(対談を石黒さんからご提案いただいた経緯があり)もしかしたら、石黒さんってめっちゃ度胸が良い人なのかなって思ってて(笑)

石黒 そんなことないです。なんか全然だめですね、話すのとか。緊張しすぎて、あとから一人で後悔します(笑)

内田 わかります(笑)

石黒 なんであんなこと言ってしまったんだろうと思って。

💬劇団なの?

田島 質問しながら、僕らの共通言語を探っていけたらなと思います。まずはじめに、劇団普通さんと劇団スポーツは、どちらも団体名に「劇団」ってついていますね。

内田 僕と田島が大学で出会った時に、劇団ってつけました。僕らは周りに劇団ってつけている団体がいなかったから、つけてみようっていうところから始まって。ただ内実これって劇団なのかなって思うところはあります。実質3,4人で運営していて、先輩後輩があるわけでもなく、定期集会があるわけでもなく…劇団って名乗りながら、巷でいうところのユニットですね。

田島 ぼくらの時は周りに劇団ってついているところがそんなに無くて、みんなバンド名みたいなおしゃれな名前をつけてたから、その逆張りみたいなところがあったんだよね。

内田 そうそうそう(笑)

田島 今劇団ってつけているところあんまりないし、ユニットっていう考え方を知らなったから、そうなったんですよ。劇団普通さんはどうですか?

石黒 今は一人劇団ですね。始めた時はユニットだったんです。私の偏見なんですけど、演劇始めて団体作るときは、劇団ってつけるものなのかなって(笑)

田島 めっちゃわかります(笑)

石黒 あとは、劇団名を決める時に漢字四文字の劇団にあこがれていて、大人計画さんとか、劇団健康さんとか、そんな名前にしようかなと思って。

田島 普通っていうのは何か意味があるんですか?

石黒 実はこれだぞっていうのはあんまりなくて、いろいろ書き出して、そうだよな、普通だよなって…(笑)

内田 すごいですねそれ!(笑)なんとなく字面だけで見たら劇団普通さんだなって思うけど、今回演劇祭のチラシを僕がデザインして作りまして、その時に劇団普通さんを打ち込んで、配置しているときに、劇団普通…劇団普通?!って思って(笑)

石黒 (笑)

内田 よく奇をてらったことをやらないっていう意味で、普通っていうのを劇団のキャッチコピーとか、指針に据えているような方たちは聞いたことがあるんですけど、それを劇団の名前にしちゃうっていうのは、冷静に考えるとすごいことやってるなって思って。

石黒 そうですよね(笑)みんなにすごいねって言われますね、よくつけたねって。

田島 そういう意味では劇団普通も劇団スポーツも意味はわからないですよね(笑)

石黒 スポーツさんもすぐ覚えられますよね、すっと頭に入ってきて。

田島 ありがとうございます(笑)僕らもほとんど理由とかなくて、深夜のコンビニで考えて思いつかなくて、朝のコンビニで内田に好きなもの何?って聞かれた時にスポーツって言ったらそれだ!ってなったんですよね。だから深夜テンションで決めてるんです。

内田 由来を聞かれると、毎回困りますよね。

石黒 確かに、どういうコンセプトでやってる劇団なのかって、こういう機会に考えますよね。言葉にしてみる機会あまりないですからね。

💬演劇始めた理由

田島 演劇を始めたきっかけを教えてください。

石黒 私始めたのがすごい遅くて、大学出て普通に就職して何年か経ってから、ちょっと身体動かす趣味やろうかなって。

田島 へー!

石黒 演劇教室とかで検索して、上の方に出てきた社会人でもできる優しい教室に入って始めました。

内田 演劇自体は、高校や大学などでやられてたんですか?

石黒 まったくやってないです、0から始めました。声を出すし、なんか良いかなって(笑)

内田 カラオケ教室に行くみたいなノリで(笑)

石黒 そうですね、だからそれまではボクササイズやったりとか、いかにも会社員のOLさんがやりそうな趣味をやってて、それから始めました。

内田 そこから、どういう流れで劇団旗揚げに至ったんですか?

石黒 演劇教室はそんなに長く続けるつもりはなかったんですけど、最初行ったらあれよあれよといううちにハマり始めちゃって。そのうち自分でも書きたいなとかやりたいなってなって。そういうことを推奨する教室だったんですよ、15分くらいの1人芝居作ってみようとか。それで興味もって始めたら、ずぶずぶと、いつの間にかこんなことになってしまいました(笑)

田島 僕らも始めたのは、23歳の頃とかで、中高時代は特に演劇をやっていませんでした。僕も内田もバリバリのスポーツマンで。内田は剣道でね、大分県4位だったっけ。

内田 そのあたりの中堅をさまよってました(笑)田島は、あれだっけ、渋谷で…なんか、三本の指に入る、バスケのポジションの人?

田島 そんなこと一言も言ってない。渋谷区の最優秀選手で、ずっと中高6年間キャプテンをやってまして。

石黒 すごい

田島 なので、方向性は違うかもしれないですけど、演劇とずっと関わらないで生きてきて、急にはまっちゃったところは同じだなと思いました。

石黒 そうですね、嬉しいですなんか。大体みんな学生演劇から続けて、演劇歴の長い方の中では下っ端だなって思ってたので、すごく近く感じました(笑)

内田 僕らも、プロフィールには大学で出会って演劇始めた、みたいに書いてあるんですけど、実際には大学の演劇サークルから旗揚げをしたというよりは、田島と二人で演劇やりたいねってなって、初心者向けのワークショップとかインプロのワークショップに行ってみて、全然何もわからないけど、友達を呼んで始めようっていうところから入ったので。

田島 最初の公演は、男友達5人でやったんですよ。誰も演劇知らなかったんで、音が出たぞー!とか、照明がついたぞー!とかでめちゃくちゃ盛り上がって、これはできるんじゃないかみたいな感じで始めましたね。…なので、僕たちは二団体とも、幼少期から演劇にはまってなかった、良いのか悪いのかはわかりませんけど(笑)

💬コロナによる変化

田島 佐藤佐吉演劇祭自体も、二年前に中止になっているのですが、コロナ前後で作風って変わりましたか?また、作風ってありますか?

内田 僕らはコロナ前は、ひたすら次の公演をうって、自分たちの技術が上がるのを待つ、みたいな、イケイケどんどんみたいな気概があったんです。希望もあったし。そこが一回コロナで足止めをされて、結構暇になったんだよね。

田島 うん、めっちゃ暇だった。

内田 こういうことがあるんだなって思った時に、今までみたいに作品を絶えず作っていくスタイルだと、いずれどこかのタイミングでまた足止めをくらうなって思って。ライフステージの変化とか、僕らもだんだん年齢が上がってきてるなっていうのを実感するようになってきて。今はどちらかというと演劇のことも、演劇以外のこともたくさん勉強したいという段階にきたなって感じがします。それまでは、公演があるから作品を作らなきゃ、って勢いでやってたんですけど、今はもうちょっと10年20年、長いスパンで楽しい距離感で演劇を続けていけるように勉強しようかなって思っています。落ち着いて楽しいもの作りたいなっていう気持ちになったよね。

田島 末永くやっていきたいねって話になったよね僕らは。燃え尽きるよりも、息が長くっていうところに今は落ち着いてる。

内田 僕ら体力ないのかもしれない。周りのちょっと上の先輩達が、1年に4本、5本作品をうったり、倍々ゲームでキャパが大きいところに行くのを見ていたので、そうしなきゃって思ってたんですけど、そんなに体力ないなって。コロナで足止めをくらった時に、息が切れてたんだなってことを知ったのが今回の収穫でしたね。

田島 石黒さんはどうですか?

石黒 私はもともと演劇の知り合いがすごい少ないところから始めたので、お客さんが200人入れば良い方みたいな、すごいちっちゃな公演をギャラリーとかでやってきたんですけど、それが自分としてはすごく楽しくて。

田島 いいですね。

石黒 毎公演課題を設けて書くタイプなんですけど、それを全部自分で達成できるようにして、こういうものをお客さんに見せたいなっていうのができるようにってやってたので。座組のみんなも仲良いし、すごい楽しかったんですよ。それから、2019年に『病室』っていう作品を、今まで書いてきたものを踏まえてちょっと違う作風にしてみたんですよね。そこからお客さんが入ったり、見てよかったねって言ってくださる方が増えて。それまでは本当に半々だったんですよ(笑)

内田・田島 (笑)

石黒 なんかよくわかんないけど良いねっていう人と、なんじゃこりゃ!っていう人と。そんな中で、良いねって言ってくれる人が増えたタイミングでちょうどコロナが…。

田島 なるほど。

石黒 これ、同じ環境の人少ないかもしれないんですけど、私演劇始めたのが遅いので、そもそもどこまで息長く続けられるのか、どこまで行けるのかなって思ってて。この世界で大成しようと思ったら、すでに偉くなっていなきゃいけない年なので(笑)偉くなったら運がよかったくらいで、できるだけ長く続けようっていうことを考えていました。なので今回コロナで足止めくらいましたけど、私の年になると親がいつ倒れちゃうんじゃないかとか、自分以外の要素でいつ足止めをくらうかわからないので。毎公演それが売れたか売れてないに関わらず、悔いの無いようにやろうって思っています。実際この足止めをくらう状況になってそこまで心境の変化が無いというか、来るときが来たなというか。こんなに大事になるとは思ってなかったんですけど、何か自分を足止めするものの一つが来たなという感じです。

田島 なるほど…。

石黒 コロナっていうものが自分にどういう風に影響するかっていうのは、自分ではよくわかっていないかもしれないです。

田島 確かに、コロナ以前からいつ足止めをくらうのかわからないっていうのはあまり考えてなかったですね…背筋が伸びました。そんな覚悟でやってなかったなって思って。

石黒 年を取ってくると出てくる悩みっていうか(笑)自分が20年先健康でいられるか、演劇を続けられるくらい元気でいるかわからないので。

田島 そうですよね。

石黒 ちょっとだけ話変わるんですけど、私震災があった時には演劇やっていないのでそのころに劇団をやってて、一度ストップしなければならなかった人の話をちらっと聞くと、自分はそういう状況におかれていなかったので、その時の作品に与える影響とか気持ちが自分には理解できていない、欠けている部分だなって思ってて。コロナと震災はまた別のものですけど、演劇が止まるという事態にこうしてまたなって、そういうものがこれから自分に与える影響っていうのを、考えていかなければならないって思ってますね。

田島 逆にちゃんと受けていかなければいけないっていう。

石黒 そうですね、ちゃんと受け止めきれてないから作品に影響が無いって思ってるのかなって。

💬病室について

田島 話戻りまして、先ほど『病室』で作風を変えたとおっしゃっていたのですが、具体的にどういう風に変えたんですか?今までの課題を昇華していった感じでしょうか。

石黒 そうですね。むしろ『病室』を書くために今までの課題があったのでは、というところがあって。

田島 へー!

石黒 簡単にいうと、リアリティのある会話って何かというところをずっと突き詰めていったんですよ。普段の会話だと人に説明するための言葉じゃないので、まったく何を言っているのか他の人が聞くとわからないんですけど、それをどれだけ再現できるのかとか、それを見せ物として成立させなければならないとか、お客さんがどれだけ情報を持つと物語が理解できるかっていうところを、ちょっとずつ図ってたんです、色々なやり方をしながら。で、そろそろいけるかなって思って書いたのが『病室』だったんです。

田島 すごいですね。確かに会話劇においてどのくらい情報を出すのかとか、どのくらいリアリティを突き詰めるのかって多分どの劇作家も考えることではあると思うんですけど、それを毎作品課題として言語化していって、それを今っていうタイミングで出せるというのは、ちょっと並大抵のことじゃないなというか、本当にすごいなと思いました。

💬脚本の書き方

田島 以前お会いした時に、石黒さんが脚本をスマホで打ってるっておっしゃってて、僕それが衝撃で(笑)

石黒 一応書くぞって思ってパソコンの前に座ったりするんですけど、ほとんど動画見ちゃって(笑)

内田・田島 (笑)

石黒 でもなんか頭の隅で10%くらいは台本のことを考えてるんですよ。ずーっと動画見ながらも考えてて。稽古場行く道すがらでは一生懸命スマホで書いて(笑)なのでみんなスマホみながら稽古してる時もあります。

田島 じゃあ結構ギリギリなんですね意外に。

石黒 ギリギリです。たまに家で書けるときがあるんですけど、そういう時は印刷して持ってって(笑)今回の稽古は、どういったわけか今のところ家で書けています。

内田・田島 (笑)

石黒 やりながらちょっとずつ書くんですけど、書き直しをしないので、順番にちょっとずつ出来上がっていって、本番のちょっと前には完成して通してやるか、みたいな。書けないですよパソコンの前でなんて(笑)

田島 そうですよね(笑)

内田 書き直しをしないっていうのは、最初に何かプロットなりをまとめる作業をするんですか?

石黒 ちゃんとしたプロットじゃないんですけど、書き出してちょっとすると、ああ大体こういう流れだなっていうのはわかって。これやって、あれやって、これやるぞ。その間をどうやって埋めようかみたいな。この出来事に持っていくためにどうしようっていうのを、一生懸命考えています。

田島 でも結構、ストレスとか無いですか?僕も動画見たりゲームしたりして、稽古始まる直前、電車の中とかでも書くことはあるんですけど、その時はもう死んじゃいそうなんですよね、気持ちが(笑)

石黒 本がかけなくて、イライラしたりとかは無いですね。稽古も、ある部分を何度も繰り返すタイプなので、稽古は成り立っちゃいますね。それで繰り返していくうちに書き終わるっていう。

田島 今日稽古でやることには困らないぞってことですね。

石黒 そうですね。劇団を一人で全部やってる分責任重大なので、あぁどうしようと思いながら制作周りとかをやっていて。だから本書くときや演出やってるときは癒し!って思ってやってますね。

内田 なるほど。

田島 メールのやり取りとかも全部石黒さんがやってくださってましたもんね。

石黒 折り込みも全部一人でやってて(笑)

内田・田島 大変!

石黒 だからだんだん公演が近づくに連れてボロボロになっていくんです。時間が無いってなって(笑)

💬今回の作品について

田島 今回上演される作品について、決まっている範囲で教えてください。

石黒 タイトルは去年やろうとしていた作品なんですけど、中身は一新しようと思っていて。もともと私の芝居は大したことが起きないんですけど(笑)『病室』と、豊岡演劇祭でやった『電話』は家族の関係を描いていて。次の『秘密』も家族の関係を茨城弁で描こうかなって思っています。見ると三部作的な感じで、なんとなくつながりを感じて見てくださればなと。もちろん見たことない方でも、情報がないからわからないとかそういう風に書くことは無いので、大丈夫です(笑)

田島 ありがとうございます(笑)内田からもお願いします。

内田 僕らも『怖え劇』は決まっていた作品なんですけど、中身は一新しようと思っています。2年前やろうとしたときは、役者がだんだん猫になっちゃうっていう話だったんですけど。

石黒 かわいい(笑)

内田 二年前の稽古の段階では、一人二人が猫になっちゃうシーンまでは作ったんですけど。どれだけ思い出そうとしても、それからどうやって落とそうと考えていたのか思い出せなくて(笑)今回やろうとしているのは、劇団の話と、ゴーストレストランの話をやろうとしていて、ウーバーイーツ専門のお店の場所ですね。その二つの場所でそれぞれ起きる、ハラスメント対立とか、支配を受ける構造とか、我慢しちゃう場面を二つの軸で描いて、それを演劇の力で解決できないかっていうコメディを書こうと思います。


お話ぶりは穏やかで落ち着いているのに、すごく秘めたる力がある方でした。演劇に対する覚悟に、背筋が伸びます。

演劇祭の初っ端である劇団スポーツに対し、劇団普通は演劇祭ラストを飾る団体です!
ぜひ、はしご割をご利用いただき、演劇祭を最初から最後までお楽しみいただければと思います。

石黒さん、本当にありがとうございました!

劇団普通 『秘密』

     
2022年4月20日(水)~24日(日)
@王子小劇場
作・演出 石黒麻衣

【キャスト】用松亮、堤千穂(鵺的)、安川まり、三瓶大介、家田三成(坂井水産)、佐藤有里子、青柳美希、しまおみほ、直木ひでくに

【チケット料金】
一般 3300円 ほか

【はしご割について】
枚数限定、要予約

【チケット予約】https://bit.ly/3h1fbqM

HP→http://gekidan-futsu.com/
Twitter→https://twitter.com/gekidan_futsu


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死にたさについて―演劇プロジェクトroute.©『戯れ、ゴト』を観て

劇団スポーツ 田島 実紘

日本の令和2年の自殺者の合計は、Googleで調べたところによると21,081人。
劇中で度々出てくる話なのですが、これって多いのでしょうか、少ないのでしょうか…?

人口10万人あたりの自殺者数は、18.475人。
世界ランキングだと、172ヵ国中18位らしいです。

世界基準で見ると確かに「多い方」ではあるのでしょう。

とはいえ、いまいちピンとこない。現状の日本という大きな社会、そして自分をとりまく小さな社会に対しての感じ方によって、これを多いと考えるのか少ないと考えるのかは、人それぞれかもしれません。

演劇プロジェクトroute.©『戯れ、ゴト』は、2021/1/26 (水)~ 2021/1/31 (月)にかけて王子スタジオ1で上演された作品です。
ラブホテルに来た少女二人のうちの一人が、自殺をするまでのお話。二人の他には三人のバックダンサー(と定義して良いのかわかりませんが)がいて、度々出てくるアンデルセン童話の『人魚姫』のお話や、自殺する少女が書いたこれまでの日記の内容を、ダンスとセリフで表現していく構成です。

「ひねくれ者よ、可愛く、世界を創れ」を合言葉にしているだけあって、出てくるもの全てが本当に可愛いです。

知育菓子が好きだという設定、『人魚姫』の泡を表現しているシャボン玉、登場人物の名前、喋り方、衣装、舞台、どれをとっても「可愛い」というものに対しての強いこだわりを感じました。劇団スポーツが団体自体に一貫している特徴としては、「思いついたことを舞台上で喋る」というセリフを覚えていない言い訳をそれっぽく表現しているだけなので、しっかりとしたコンセプトがある団体は羨ましく思います。

少女が自殺をするまでという、一見すると救いのないバッドエンドが様々な種類の「可愛い」で彩られていて、まさに独自の世界が形成されています。

話は逸れますが、僕らも王子スタジオ1で公演したことがあります。王子スタジオは、車の音などの外の音がすごい聞こえるんです。そういった環境音をどう演出にくみこむのか、それとも全く無視するのかということはきっとどの演出家も頭を悩ませると思うのですが、ラブホテルという設定と車の音が妙に親和性があって個人的に良かったです。環状線上のラブホテルとかだと、車の音ってやけに聞こえてきますよね。ラブホテルっていう場所のファンタジー感と、車の音という生活音が入り乱れると、いつも心が不安になるのを思い出しました。

この自殺をする少女、どうしてこのようなことを思い立ったのか、というバッククラウンドが実は作中ではそんなに語られません。むしろ多くが語られるのはもう一人の少女の方。この少女は学校でいじめられていたりだとか、いつもかばんにカッターを持ち歩いているだとか、残される方の人間のことは多く語られていきます。

でもそれは、人によっては救いだと思っています。
人が自分で命を絶つ理由はたくさんあります。いじめ、借金、失恋、健康、職場の人間関係、家庭環境などなど。でもその中の一つに、「なんとなく死にたいから」というものもあって。

僕は生まれた時から家庭環境に恵まれていて、学校でもいじめられていなかったし、バスケットボール部ではキャプテンで、ジャズピアノをたしなみ、親にもよく愛されました。それでも本当になんとなくずっと死にたかった。でもそういう人って、自分はそんなことを考えてはいけないと思ったりするんです。家庭環境も恵まれてて、人間関係も何の問題もなく、やりたいこともできている自分が「死にたい」なんて思ってしまうのは、本当に良くないことだって。

そういう人達にとって、自ら命を絶つ側の理由が多く語られない作品っていうのは「なんとなくの死にたさ」を肯定してくれる救いなんです。死にたさに明確な理由なんて無くていいんだよってことを教えてくれる。死にたいと思っている自分を責める気持ちが無くなって、心を快方に向かわせてくれる時があります。

「普通のハッピーエンドじゃ幸せになれない人の為のハッピーエンドを生み出す創作団体」(HPより)

まさにこの言葉を体現しているような終わり方だなと、僕は勝手に自分の経験と照らし合わせて感じていました。

実は劇団スポーツも、ハッピーエンドって本当に少ないんです。大抵はいつもバッドエンド、それをコメディとポップな雰囲気でなんとなくハッピーエンド風に見せているだけ。はしご割との親和性も意外とあると思います。是非、劇団スポーツの後は、演劇プロジェクトroute.©をご覧ください…!

演劇プロジェクトroute.© 『放課後、ミドルノート』

     
2022年4月14日(木)~17日(日)
@王子スタジオ1
作・演出 平安咲貴

【キャスト】まひたん、小練ネコ(ミュージカル団体sorciere)、安田舞佳、くつかけまな(晴れでも長靴)、西田アツヒコ、小泉日向、ゆでちぃ子、木山りお(怪奇月蝕キヲテラエ)

【チケット料金】
一般 3500円
学生 2800円 ほか

【はしご割について】
★全券種適応可

【チケット予約】https://www.quartet-online.net/ticket/tga9vrr

HP→https://routemaruc8.wixsite.com/mysite
Twitter→https://twitter.com/routeCCC


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宇宙船に乗って―南京豆NAMENAME『僕らの爽やかな深爪』を観て

劇団スポーツ 田島 実紘

①右手の人差し指で、空中に正三角形を描く。

②その正三角形を囲むように、今度は左手の人差し指で、円を二回描く。

③右手の人差し指と親指、左手の人差し指と親指を使って三角形を作り、天にかざす。

④その状態で「からぱむまみや、まみやからぱむ」と唱える。

以上。

満月の夜にこの行程を踏むことで、北北西の方角から一柱の光の柱が現れ、円盤状の飛行物体に乗った「からぱむ星人」があなたを次の新世界へと誘うだろう。

…お願いします「からぱむ星人」。

あなたたちのことをずっと考えて、信仰を抱き、徳を積んでここまで来ました。

だから次の満月、UFOという名のノアの箱舟で、僕をこの世界から連れ出してください。じゃないと僕は、この世界に染まってしまうから。

『僕らの爽やかな深爪』は、2021年11月3日から2021年11月7日にかけて王子小劇場で上演された作品です。テン子は、良い年をしてフリーターをやりながら、クズ男ガチャを回してダメ男と付き合っては別れる毎日。ある日、失恋の腹いせに友人と三人でドライブに出かけたところ、一人の男子高校生を車で轢いてしまいます。その時、彼が車に轢かれて意識が飛び行く中、目の前に光の柱が現れ、そこから出てきた少女と出会い、手を握って恋に落ちます。高校生はその後、その少女を友人たちとともに探しますが、なんとその子は隣のクラスにいたのでした。高校生はそこから必死にアプローチを試み、一方テン子は学生時代の同級生と出会うのですが、フリーターである自分とはかけ離れた社会的ステータスを持っており…。

…意味わかりますか?大丈夫です、僕も書いててよくわかりません。でもこの「飛び方」が良いんです。

僕らも、「山から降りてきた少年とベンチャー企業の社長の話」、とか、「茶道部に乗っ取られていく軽音部の話」とか、「鹿の剥製がお腹に刺さって死んじゃった女の子の話」とか、大概“飛んでいる”方だと思うのですが、この作品を見るとまだまだ「飛び方」が足りなかったなと思います。このフライヤーの方々もだいぶ飛んでおります。

この作品は大きく分けて三つのグループの話が混ざりあって進行していきます。一つは、ニコニコしながら楽しいことだけに目を向けて生きている主人公テン子とその友人。一つは、光の柱から出てきた少女に恋する男子高校生と、その友人。そしてもう一つは、光の柱から出てきた少女と、その姉です。

貧困層と富裕層との狭間で、双方の光と闇を描いていく作品は数あれど、『僕らの爽やかな深爪』はそんなところにはとどまりません。

主人公・テン子が最終的に選ばなければいけないのは、「友人たちと楽しくコンビニでお酒を買ってその日暮らしをする生活」か、「宇宙船チャレンジャー号(HPより引用)に乗ってこの世界から旅立つ」かのどちらかです。

しかもこの「宇宙船チャレンジャー号」、明るくて優しい人ってだけだと乗り遅れてしまうらしいです。

キャッチーな言葉と情熱的なリリックで描かれていく厳しい現実。そうですよね、優しくって明るいだけじゃあ、資本の波には乗れません。狡猾に、抜け目なく、それでいて敵を作らず、着々と歩んでいける人だけが「宇宙船チャレンジャー号」の乗船許可を与えられるのでしょう。

でもそれだけでもダメなんです。育った環境、親の年収の差…。そういった生まれながらに存在する、どうしようもないものもその中には含まれていて、選ばれるものと選ばれないものの間にある溝は底が見えないくらい深い。

「あなたの言葉はわからない」というセリフが出てきます。

双方しゃべっているのは確かに日本語なんです。でも、やっぱり「あなたの言葉はわからない」。僕たちの間を阻むのは、決して言語なんかではないことは、昨今の社会情勢を見ていても痛感させられます。

人類史は暴力の歴史です。僕らの間にある深い溝を埋めることは限りなく不可能に近いのかもしれません。

でもそれでも、やっぱり言葉を紡ぐことをやめちゃいけない。作家としても、一人間としてもそう思います。綺麗ごとでしょうか。

僕が小学生くらいの頃までは、テレビで「UFOついに発見!」みたいな番組がやっていましたが、露程の興味もなかったです。ワイプに映る芸能人がわざとらしく反応するのを鼻で笑っていました。

でも今は、思うんです。UFOいてくれって。じわじわと見えない闇に体を蝕まれていくような感覚。すぐそこにある死にたさから懸命に目を背けて、自分の成長や目に見える数字や成果だけに縛られていく息苦しさ。未確認飛行物体を追い求める人たちの中にあるのは、そういったものから切り離されるための切なる祈りなんじゃないかって。

祈るってことは、思考停止なんかじゃない。あの選択を選び取り、あの結末を迎えた『僕らの爽やかな深爪』の彼ら彼女らが、その後どういう人生を辿ったのかを夢想しながら。僕は今日も天に祈りを捧げて、世界平和と万馬券を願います。「からぱむ星人」、どうかこの世界を救って、僕を連れ出してください。

南京豆NAMENAME 『リディキュラブ』

     
2022年4月15日(金)~18日(月)
@王子小劇場
作・演出 河村慎也

【キャスト】赤猫座ちこ(牡丹茶房)、板場充樹(猿博打)、市川賢太郎(肉汁サイドストーリー)、今井未定、河村慎也(南京豆NAMENAME)、北本あや、佐藤友美、田久保柚香、田平マサヤ、藤本康平

【チケット料金】
一般 3500円
U22 2800円 ほか

【はしご割について】
★全券種適応可

【チケット予約】https://ticket.corich.jp/apply/120710/

HP→https://nanjingname2.wixsite.com/nanjingmamenamename
Twitter→https://twitter.com/nanjingmame


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追憶―コンプソンズ『何を見ても何かを思い出すと思う』を観て

劇団スポーツ 田島 実紘

「演劇すごろく」、という言葉を一番初めに聞いたのがいつの日だったのかはもう忘れたけど、少なくとも僕が劇団を始めた当初は知らなかったです。

コンプソンズさんも劇団スポーツも、確か旗揚げしたのは両団体とも2016年で。一度、作・演出の金子鈴幸さんと共演した時に、王子小劇場の楽屋で「旗揚げ時期同じですね」みたいな会話をしたような、してないような記憶があります。

下北沢のOFF・OFFから始めて、本多、スズナリって大きくしていけば売れるみたいな時代はもうとっくに終わってる、みたいなセリフが劇中であるのですが。そういう話を内田とし始めたのは旗揚げから1年くらい経ったあとだった気がするので、2017年頃にはもう知っていたことになります。

劇中の冒頭の方でたびたび出てくる、演劇への動機というか理由。なんで演劇やってるのか。そもそもやりたいことだったかどうかさえわからない、みたいな会話があるのですが。

2019年の8月に金子さんと共演した時に、同じ団体主催として「なんで演劇やってるんですか?」みたいなことを、楽屋で聞かれたような、聞かれてないような。あれ以来一度もお会いしてないですし、そもそも金子さんが僕に敬語かどうかだったかさえ覚えてないので、僕の記憶の捏造だったら本当に申し訳ないのですが、そんなことを聞かれた気がします。

2019年、僕は演劇を続けていくことに対する閉塞感をうっすらと感じながらも、まだまだ演劇楽しいよ状態だったので、「みんなを倒したいから」みたいな、よくわからない的外れなことを返した記憶があるような無いような。

『何を見ても何かを思い出すと思う』。勝手にはしご割りの企画としていろんな作品を見させていただき、色んなことを思い出しながら感想を書いていた僕としては、本当にあほみたいですが「いや、本当に何を見ても何かを思い出すよな」と、金子さんと共演した時のことを追憶していました。

『何を見ても何かを思い出すと思う』は、2021年4月7日から11日にかけて「劇」小劇場で上演された作品。 今泉力哉監督や徳永京子さんをアフタートークのゲストとしてお呼びし、SNSでタイムラインを賑わせていたのを覚えています。

下北沢を舞台に、有名なカレー屋に行こうとするカップル、B級映画を取り続ける監督、かたやカンヌに呼ばれる監督、半年に一回公演を打つ劇団員たち、曲を作ろうとしないバンドマン。そんな彼らが、年代、場所、時には生死を飛び越えて、交差していく。いわゆる、タイムリープものとはちょっと違う、メタとはちょっと違う、誰かの脳内で何かを思い出しているような構成で展開されていきます。

まず、言いたいのが、コンプソンズさんってめちゃくちゃかっこ良いというか、本当おしゃれですよね…?出てくる俳優さんのグルーブ感、衣装、セリフ回し、出てくる固有名詞の数々、どれを取ってもかっけぇです。

見てくださいこの団体写真。めちゃくちゃかっこよくないですか??

劇団スポーツで三人でいる時に、偶然この写真が目に飛び込んできて、うわぁかっけぇって盛り上がった記憶があります。

対して僕らの写真。

なんだこの信号!だせぇ!!全員表情が謎すぎる。これ撮ったのいつだよ、早く変えろ。

劇中では様々な固有名詞、演劇あるあるが登場します。

荻窪界隈の小劇場世界はよくBUMP OF CHICKENで踊るんだ、恥ずかしかったとか。僕らも、実は踊りこそしなかったですが第三回公演でBUMP OF CHICKENをかけながら登場人物たちが出てくるオープニングみたいなことをしました。映像を見返すと恥ずかしすぎてゲラゲラと笑ってしまうのですが、それをバカにするようなこともなんだかしたくない気持ちがあって。『何を見ても何かを思い出すと思う』は、最後の方でそういった部分もしっかりと回収していて感動しました。

本当えらい人って必ず遅れてくるよな。えらい人のために上演時間遅らせたことあったな、とか。

閃光ライオット、スクールオブロック謎に聞いてたな。戸田恵梨香がゲストで来た回に、なんかおはようボイスだかなんだかが配信されて、目覚ましの音にしたなとか。

自分のサブカルとの出会いは、中学1年生の時に初めて読んだ浅野いにおだった気がするなぁとか。

そんなあれやこれやを、劇中で様々な時代に飛びながら、僕も様々な時代に飛んで、色んなものが一緒くたになりながら心地よく、時には死にそうになりながら思い出していました。

コンプソンズさんは、なんとなく「エモ」とか「王道」とか「奇跡」とか、そういったものをちょっと小ばかにしながら、でも劇中のシーンの一瞬一瞬がすごくエモーショナルでなんだか泣けました。そこは勝手に僕らと似たようなものを感じました。

というわけで、色んなことを思い出しながら話は冒頭に戻るのですが。

なんでやってるんですかね、演劇。

2016年の旗揚げの時は目がキラキラしていたはずの僕。2019年の時もまだそこまで死んでなかった気がします。

でも今はなんだかSNSを見ることさえしんどくなって、演劇なんてやる必要あるのかなと自分に問いながら、辞めれずにいました。きっとそれは、コロナとか戦争が無くても同じことだったと思うんですよね。だから最近はずっと、なんで演劇なんかやってるんだろうって問うてます。

この作品を見て一つ思ったのは。

ああ、俺って演劇の力みたいな、

演劇にしかできないこと、みたいな、

そういうことをまだ信じてるから、続けているんだろうなって思います。

昨今の演劇すごろくの盤面は、地獄みたいなマスばかりな気がするけど、でもたまに出る奇跡マスを信じて、今日も賽をふります。

コンプソンズ#9 『イン・ザ・ナイトプール』

     
2022年4月5日(火)~10日(日)
@王子小劇場
脚本・演出 細井じゅん、大宮二郎、宝保里実、鈴木啓佑

【キャスト】星野花菜里、細井じゅん、大宮二郎、宝保里実、鈴木啓佑、大谷博史、神山慎太郎(くらやみダンス)、忽那文香(ダウ90000)、榊原美鳳(ハダカハレンチ)

【チケット料金】
一般 3000円
学生 2500円 ほか

【はしご割について】
一般料金のみ、枚数限定、要予約

【チケット予約】https://ticket.corich.jp/apply/116483/

HP→https://www.compsons.net/
Twitter→https://twitter.com/compsons1206


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僕には故郷がないけど、―かるがも団地『意味なしサチコ、三度目の朝』を観て

劇団スポーツ 田島 実紘

僕には故郷と呼べるような故郷がありません。

父の仕事の都合上、転勤族だったので世界中を転々としていました。横浜、ロンドン、川崎と移って、10歳からはずっと東京に住んでいます。

劇団スポーツでは内田と共に脚本を話し合いながら書くのですが、そこでよく内田がこんな例え話を出すんです。

「例えば田舎にイオンができることで、地元の商店街の人たちともめる話ってよくあるじゃん。ずっと守っていきたい街の風景って誰しもにあるから、みんな共感しやすいと思うんだよね。だからこの役は、変わらない街を守りたいみたいな動機があって良いんじゃない?」と。

僕はそれ、理屈ではわかるんですけど全く共感できなくて、いつもなんとなく却下しちゃうんです。だって僕が育ってきた環境は、街も、人も、常に移り変わるもので、変わっていくことが当たり前だったから。変わらないものを守りたいっていう感情が、よくわからない。

でもこの作品を見た後は思います。

あぁ、僕は故郷がある人に嫉妬してたんだなぁって。

『意味なしサチコ、三度目の朝』は、2021年8月5日(木)~8月8日(日)に花まる学習会王子小劇場(当時)で上演された作品です。

舞台となるのは、秋田県能代市。劇中でもセリフがありますが、バスケをやっていた人なら「おっ」となる街。バスケの強豪、能代工業があることから、別名バスケの街とも言われています。とはいえ、バスケの街にはバスケが強いこと以外に際立った特徴はなく。少子高齢化や過疎化が進み、主人公が住んでいた団地も取り壊しが決まります。東京で夢破れ、派遣をしながら暮らしていた主人公は、団地の取り壊しに伴い実家に帰省し、そこで目をそむけていた故郷のあれやこれやと向き合うことになるのですが…。

もう本当に、「さわやか!あざやか!泣く!」。全編秋田弁で、モノローグ調で語られていくのですが、笑いあり、ダンスあり、涙あり。喚き散らしたくなるくらい鮮やかに、登場人物たちが物語を明るく彩っていきます。

テンポ感や間をすごく大切にしているなということが伝わってきましたし、キャラクター性の強い登場人物たちが本当に見ていて楽しいです。劇団スポーツだと、内田が突如として脚本にないことを喋りだしちゃうし、演出もくそもなくなる瞬間が多々あるので、かるがも団地さんのようなリズム感あふれる劇とセリフには、憧れのような気持ちがあります。八王子のご当地アイドルのダンスシーンも、何度も繰り返し見てしまいました。今後しばらくは、人生に嫌気がさしたらこのダンスを見て生きていこうと思います。

とはいえ人生って、山あり谷ありです。変わらないものも確かにそこにあるけど、人はどんどん歳をとって、色んなことを経験して色んなことを忘れていく。

人は二度死にます。肉体が滅びた時と、誰かに忘れられた時。

僕は中学生の時、バスケ部の同期が一人亡くなりました。ある日登校すると、授業の時間が中止になって急に僕らの学年だけホールに集められて。何事かとざわざわしていると、その悲報を聞かされました。実感がなくてずっと涙は出なかったけど、お通夜の時に彼が好きだったビートルズの「Let it Be」が流れていて、そこで初めて少し泣きました。

僕は、その時に彼のことを絶対に忘れないって強く思ったんです。毎日毎日思い出そうって。でもそれこそ、僕たちの周りは目まぐるしく変化していって、人間関係も、街も、ステータスも、日々の喧噪の中で、思い出さない日は増えていき…。

僕はこの『意味なしサチコ、三度目の朝』を見るまでもう何か月も思い出していなかったような気がします。でも良いんです、毎日思い出さなくたって、こうしてことある事に思い出すことができれば。もうどんな声をしていたかは覚えてないけど、自由が丘駅で偶然あったことも、レイアップの変なフォームも、彼が座っていた席も、まだ全部覚えています。

僕には確かに故郷はないけど。それでも、横浜に住んでいたころの、あほみたいに長いマンションの階段。イギリスで仲良くしてた、髪の毛が真っ白のオリバーと、頭がよかったトム。川崎の社宅でずっと一緒に遊んでた、山田君とあやかちゃんとちひろちゃん。全部全部まだ覚えてて、その一つ一つが僕の故郷です。この目まぐるしく変わっていく世の中でも、その思い出だけは絶対に変わらないから、覚えてる限りどこまでも連れて行こうと思います。

「これは、私、秋林幸恵の話であり、私の生まれ育った街、能代の話であり、私の友達、サチコの話です」

上演台本がnoteで販売していたので、リンクを載せておきます。

第5回公演『意味なしサチコ、三度目の朝』上演台本
https://note.com/karugamodanchi/n/nbe4f067e5e60

かるがも団地の完璧なリズム感と、劇団スポーツのめちゃくちゃなリズム感をはしごすれば、あなたの演劇音感も養われること間違いなしです。

かるがも団地 『なんとなく幸せだった2022』

     
2022年3月31日(木)〜4月3日(日)
@北とぴあカナリアホール
作・演出 藤田恭輔

【キャスト】北原州真、冨岡英香(もちもち)、信國ひろみ(バケツまみれ)、森将人、中嶋千歩、遠さなえ(あっかんベイベ)、谷川清夏(1999会)、岡本セキユ、宮野風紗音(かるがも団地)、古戸森陽乃(かるがも団地)*
*声/映像出演

【チケット料金】
一般 3000円
学生 2500円 ほか

【はしご割について】
一般料金、学生料金のみ可

【チケット予約】https://www.quartet-online.net/ticket/karugamosakichi2022

HP→https://www.karugamodanchi.com/
Twitter→https://twitter.com/karugamodanchi


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雄弁になった僕は―複合創作ユニットwakka『Gregorius “面影”』を観て

劇団スポーツ 田島 実紘

「夜道に寄り添ってくれるのは月だけです。」

とある仕事で何気なく書いたその一言を、すごく褒められた記憶があります。

田島君は詩人だねって。

その人曰く、夜道というのは私たちが人生で遭遇する様々な壁や、戸惑い、哀愁を表現していて。月「だけ」というところもよくて、切なさを助長しながらも、希望も見えて良いって。レトリックだよって。

でも僕は、本当にシンプルに夜道を想像しながら、ずっとそばにあるのって月だけじゃんって思って書いただけで、そんなに深いことは考えてもみなかったし、褒められたあとも、あんまりピンと来ませんでした。

なぜなら僕は、今まで生きてきた人生の中で、日記を書いたことはおろか。

詩を書いたことなんて一度もありませんし、「サラダ記念日」しか読んだことがありません。

そんな僕でさえ、

「どうして今まで自分は一度も詩を読んだことがなかったんだろう」と、この作品を見ていると思わされます。

複合創作ユニットwakka、「Gregorius “面影”」は、2020年12月11日から13日まで東京・Mistress bar Guernicaで上演された作品です。

ポエトリーリーディングと演劇の融合を試みた作品で、グレゴリー・コーソの作品と人生から影響を受けたとのこと。(ステージ・ナタリーより)

ステージ上にあるのは、簡素な椅子とソファー。

そしてマネキンが亀甲縛りをされている横に並んでいる様々なSMグッズが置かれています。

前半は「土まみれの手」、後半は「人間賛歌」という二部制になっており。

登場人物たちが、詩を読みながらセリフをしゃべり。紙を一枚もって、文字通りのポエトリーリーディングと、演劇上の芝居のセリフとが織りなされていきます。

「土まみれの手」では、

大人になりたくない20歳を目前にした姉妹の会話と。

子供扱いされたくない少年と、白衣を来た女性との会話が交互に繰り返されていきます。

詩は、その言葉が織りなす背景に様々な情景を提示していきながら。

その連続性が、彼ら彼女らの辿ってきた人生、これからの困難をこちらに想起させていきます。

社会的な問題提起ではない個人の詩も、当然かもしれませんが見ている側を雄弁にさせるのだなと強く思いました。

例えば、「土まみれの手」において少年が母親に、手が汚い、という理由で外に放り出されるところから始まるのですが。

それを聞いて僕は、9歳くらいのことを思い出しました。

当時僕は母親に、「部屋が豚小屋のように汚い」と言われて、マンションの地下の倉庫に閉じ込められたんです。

今は自分で書いててちょっと笑ってしまうくらいですが、一番身近だと思っていた母親から清潔感などの生理的なところで否定されるって、結構来ます。

マンションの地下倉庫は、101から909までの各部屋の倉庫がパーテーション上で仕切られている巨大な空間で。

僕はその中の「507」と書いてある部屋に閉じ込められて、真っ暗闇の中で本当に何分かだけ閉じ込められてしまいました。

最初は、悲しくて怖くてずっと泣いていましたが、暗闇に目が慣れてきたころ。

僕は9歳という若さで、泣くのに飽きてしまいました。脚本だったら、その体験をもとに暗闇に対してのトラウマが植え付けられた、というような展開を考えますが。

なぜだか僕はその時、暗闇に対して安心感を覚えて怖さもなくなり、倉庫にあった自転車のハンドルみたいのでずっと遊んでました。

僕の中の、「初めまして暗闇」体験。

自分の中の記憶が、閉じ込めていた感情が、登場人物の織りなす詩によって次々と呼び起されていきます。

中には、経験したことが無いのにあたかもそれを体験したことがあるようなことを思わせてくれるものも。人が歩んできた様々な道のりが、ストーリーであってストーリではない何かが、演劇と詩の隙間から頭の中に流れ込んでいきます。

…と、雄弁に書き綴りましたが。

こんなことを書いてもしょうがないんです、おそらく。

だって詩には詩で返すのがきっと一番だから。僕の大好きなMCバトルのラッパーたちも、こんな長々とした文章で返答してたら16小節が何個あっても足りないです。

だから今日は、僕が生まれて初めて書いた詩で、しめさせていただきます。


やめられないのは トッポだけじゃない
キットカットにも きっと勝てない
でも僕からしたら

ガルボも やめられない
ガルボには
なんのフレーズもないのに
やめられない
発売当初からずっと やめられない
ガルボは 
トッポより
…強いよ

お酒は やめた
四肢の麻痺がひどくて やめた
でもまた飲みたくなって
なんかまた飲んだ
お酒は
ガルボより弱いのに
やめられない

だから僕は
一生 ガルボを やめられない
ガルボ
ガルボ 
ガルボ
二つ名無き強者よ
今日の夜飯も
君に決めた


…助けてください。(ポケモンレジェンズアルセウス、とっても楽しいです。)

全然しまりませんでした。

複合創作ユニットwakkaの詩は、僕の書いたものより一億倍も良いのでご心配なく。

映像の販売もあったのでリンクを乗せさせていただきます。

複合創作ユニットwakka ショップ
https://wakka.booth.pm/

でも本当に不思議なもので、劇団スポーツの作品とは似ても似つかないのに、詩という側面から自分たちの作品を見直すと、なぜだか詩の匂いが香ってきたりする。

きっと全員の中に詩人性みたいのはあって、人はみんな詩人なんだと思います。

…一度も詩を詠んだことがなかった僕の有り体の言葉で、今度こそ本当にしめさせていただきますね。

今宵も月があなたに寄り添ってくれることを祈って。

複合創作ユニットwakka 第三回公演 『phantasma alley』

     
2022年3月24日(木)〜27日(日)
@王子スタジオ1
作・演出 齊藤航希

【キャスト】鈴木里久、すみたしおん(劇団木霊)、根井、松葉麻里花、川合凜:strain [α] ※、齊藤航希:strain [β] ※
※ ダブルキャスト制

【チケット料金】
一般 1000円
学生と未就学児 800円 ほか

【はしご割について】
一般料金のみ可、200円引き

【チケット予約】https://www.quartet-online.net/ticket/jmlbxeh

HP→https://wakkakamuy.wixsite.com/wakka
Twitter→https://twitter.com/HeperKunne


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だって金がないと死ぬから―第27班『ゴーストノート』を観て

劇団スポーツ 田島 実紘

高校生くらいまでは。

人にお金を借りることはもちろん、友達のお金を盗むことも、クレジットカードのリボ払いも、ギャンブルも、サラ金にお金を借りることも、全部「悪いこと」だと思っていました。自分には縁のない世界だと。

でも、20歳を過ぎたあたりから、クレジットの支払いを分割にしてみるところから始まって、年金を滞納してみたり、税金についての知識がつくようになって。25歳を超える頃には、「俺今このくらい稼いでるってことは、生涯年収は大体このくらいで、年金はこのくらいだから・・・」とか考えるようになって。

気づいたら、闇金ウシジマくんの世界はすぐそこで、アコムの看板が街中でやたらと目に入るようになっていました。

だって、お金が無いと死ぬから。

第27班『ゴーストノート』は、2019年度の演出家コンクールで最優秀賞を受賞した作品で、2021年3月10日から14日に、「劇」小劇場で上演されました。

真ん中にドラムセットが一台ドンとおいてある舞台。

青年がドラムセットを一式買って、レオパレスの家に設置するところから始まります。

そこに、青年の知り合いと思われる一組のカップルが訪れ、「お金を30万ほど貸してほしい」という話を始めます。ただどうやら、カップルの男と青年との間には、何やら確執があるようで…。

この物語は、よくある「青年がお金のために夢を諦める話」ではくくれない、底のない静かな絶望や、満たされることのない愛、受け皿のない若者たちが表現されていて、そこかしこに「やめてくれー!」ってなるポイントが散りばめられており、悶絶せずに見ることはできません。

特に、主人公である青年が惚れている女性がいるのですが、この女性には彼氏がいて、頻繁に主人公に連絡を取ってくるのです…。

やめてくれよ…!

彼氏いるのに、酔っぱらって肩とかにもたれかかるのやめてくれよ…!しょっちゅう電話してくる癖に、こっちがちょっとでも好きだっていう雰囲気見せると引いてくのやめてくれよ…!かっこ良いとこ見たいとか言うのやめてくれよ…!

男女問わず誰しも経験がある、「なんであんなやつに惚れちゃったんだろう…」っていう傷口を、ピンポイントでぐりぐりされます。僕は主人公に向かって、「そんなやつに金使っても何にもならないぞ!」と精一杯叫びましたが、届きませんでした。

電車の音が聞こえる高架下で、居酒屋のビールケースを勝手に借りて椅子にして、二人でコンビニで買った缶ビールを飲むだけの幸せの時間。アンダーグラウンドに片足を突っ込んだ気になって、世界からはみ出して二人だけみたいに感じても、それは全部幻想です。

いいですか、こっちが一生懸命その女の子の好きな音楽とか、映画とか、小説とかを読んで、一生懸命感想を言って、向こうが喜んでくれても。その子はこっちがおすすめしたものは絶対に見てくれません。

彼氏と喧嘩したって言って泣いてて、それを一生懸命慰めても。次の日には彼氏からもらったブレスレットかなんかを、ニコニコしながらはめてくるし。彼氏の次の二番でいいやと思っても、あなたは二番ですらありません。ましてや、自分の劇団の公演なんか、死んでも見てくれません。でもなぜか気にしてて、日程とかだけ鮮明に覚えてるんです、そういうとこだぞ!

…なんてことは、頭でもわかっているんですよねみんな。僕はなんだか運よく脱出できたから、ここで一生懸命叫びますが、あなたとお相手との間の愛は無限です。これからも大事にしてあげてほしいし、ずっと思い続けててほしいです。

こういった、身近な思い出が次々と掘り返されるような出来事の連続で、繰り返しになりますが本当に悶絶せずには見てられません。

ドラムの演出も本当に素晴らしく、青年の夢の象徴である「ドラム」が、あんなシーンやこんなシーンに繋がっていくのが、結構皮肉だなと僕は個人的に思いました。

主人公が最後まで本当に最低なところもまた良いんです。全部見終わったあとに最初のシーンを見ると、マジでなんだよこいつって思います。もちろんそれは、最低な一言じゃ片付けられない静かに自分の人生を受け入れていく切なる姿があるのですが…。

気になる方は、ぜひこちらをチェックして見てください。

第27班オフィシャルショップ
https://teamthe27.official.ec/

勝手に!はしご割りということで、勝手に宣伝してしまいました…!

ここに、「ゴーストノート」の公演DVDが売っております!!

3500円ですが、お金がなかったとしてもサラ金では最低1万円から借りれるところもありますし。あなたが劇団やバンドをやっているのだとしたら、売上金をちょろまかすのも良いでしょう。

お金がないと死にます。

でもだからこそ、お金と向き合って新たな人生を歩んでいくことは、決して後ろ向きな選択なんかじゃないはず。この教訓を胸に、僕は今日もアコムで生活費を借りに行こうと思います。

劇団スポーツを見た後は、ぜひ第27班に足を運んでみてください…!

第27班の公演情報は、こちら!

第27班『下品なジョン・ドー 笑顔のベティ・ドー』

     
2022年3月24日(木)〜28日(月)
@王子小劇場
作・演出 深谷晃成

【キャスト】鈴木 あかり、箸本 のぞみ、大垣 友、もり みさき、深谷 晃(以上、第27班)、目崎 剛(たすいち)、やじり まおん、函波 窓(ヒノカサの虜)、大賀美 佑治、服部 美香

【チケット料金】
一般 前売3,800円/当日4,300円 ほか

【はしご割について】
一般前売料金、当日料金のみ可

【チケット予約】https://www.quartet-online.net/ticket/john27betty2022

HP→https://teamthe27.wixsite.com/official27
Twitter→https://twitter.com/TeamThe27


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